JALプロジェクトを終えて

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 北海道道東方面をターゲットに「名古屋の人々がわくわくして行きたくなる夏旅」をそれぞれプロデュース。選考を勝ち抜いた提案は、平成27年夏向けの旅行商品として商品化する。6月17日のキックオフミーティングから始まったこの企画。ゼミのメンバーに旅行好きが多く、自分たちになら良いプランが作れる、という小さな自信のもと参加を決めましたが、この時はまだ、このプロジェクトが、あんなにも大変なものになるとは思ってもいませんでした。

 このキックオフミーティングでは、協働企業2社(JAL・名鉄観光)、参加ゼミ(河合篤・高橋・大神3・4年)の紹介、プロジェクトのルール説明、旅行業界の動向や旅行商品造成の際のポイントなどについて説明していただきました。『学生らしい柔軟で斬新な発想・プラン作り』といった話がJAL・名鉄観光側、学生側両方から出てきて、私たちは、自分たちにしか作れないプランを作ろうと決意しました。

 まず、第一の目標は10月24日の中間レビューです。はじめに、この中間レビューまでの約4か月をどのように過ごし、プランを練っていくかを話し合いました。そこで、私たちは、道東向けのプランを作るのならば、実際に道東に行くことが一番と考え、実地研修旅行への参加を決めました。当たり前ながら、ただ行くだけでは意味がありません。そこで、私たちは、10人を2組に分け、(1) 道東について (2) 日本人、とくに名古屋人の旅行についての2つを、8月26~28日の実地研修旅行までに調べることにしました。

(1) 道東向け旅行のパンフレットを片っ端から集め、行く観光地や載っているお店などを集計しました。これにより、道東向け旅行プランの傾向を把握することができました。まず、ほぼすべてのプランに知床が入っていたので、知床へ行くことを決めました。他に、阿寒湖、摩周湖、網走など、定番スポットを中心に研修旅行コースを練っていきました。

(2) 人々がどのようにお金を使うか、どれくらいの頻度で旅行に行くか、旅行に何を求めるか、といったことをインターネット中心に調べました。きれいな景色、おいしいご飯、癒し、などを求めているといった結果が出てきて、人々のニーズと道東はマッチしているという自信を持って実地研修旅行へ向かいました。

 釧路空港へ到着すると、釧路観光協会やJAL釧路支部の方などが出迎えてくださり、そこで、よりよいルートや、地元民おススメのスポットなどを教えていただきました。多くの方々に優しくしていただき、またとても豪華な旅館・部屋に格安で泊まることができ、名目は研修旅行であるものの、この旅行を心から楽しみまた。同時に研修旅行を通して、実際に行かねば分からない、スポットごとの情報・スポット間の移動行程など、そして何より、実際に行ったという、他グループに対する自信や強みを持つことが出来ました。

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 研修旅行を終えると中間レビューまで残り2か月となりました。ここから、旅行プラン作りで最も重要である、コンセプト作りに取り掛かりました。10人の発想と知恵を合わせて、様々な案を出しましたが、なかなかしっくりくるものがありませんでした。この、コンセプト作りが一番苦労したと思います。煮詰まっていた頃、少し考え方を変え、私たちにとっての強みとは?私たちにしか作れない旅行プランとは何なのか?という風に考えました。すると、私たちの強みは、他のグループと比べて唯一研修旅行に行ったこと、とくに女子が4人行ったことだと見えてきました。また、その強みを最も生かせるのは女子旅だと考えました。この『女子旅』というキーワードが出てからは、進行が飛躍的に早くなりました。ただの女子旅では、今までにも多く世に出ていました。よって、道東×女子旅を考え、同じ日本とは思えないほどの壮大な景色、おいしいご飯、満天の星空などを、旅行者は絶対にカメラで写真を撮るだろう、と考えました。そこで、道東×女子旅=カメラ女子旅をコンセプトにすることに決めました。

 コンセプトを決めると、まずカメラ女子に関するデータを増やすため、インターネット上でアンケートを作成し配布しました。最近は、カメラで写真を撮ると、他の人とその写真の共有をしようとする、とくにSNSを用いての共有が多いと考えました。そこで、カメラ(スマートフォン、デジタルカメラ、一眼レフ)を持っているか、主に何を撮るかなどのカメラに関する質問の他に、SNSをやっているか、SNSに写真をアップするか、その写真を見てそこへ行きたくなるか・実際に行ったことがあるか、などのSNSに関する質問を多く盛り込みました。また、質問事項、回答の簡素化を第一に考え、回答者が答えやすい形をとりました。それによって、短期間で一定の回答数を得ることができたと思います。

 データが集まってからは、中間レビューに向けてパワーポイント作り・発表準備です。中間レビューでは完全に作り上げるのではなく、発表後に審査員から多くのアドバイスを頂けるよう、自分たちの持てるアイデアなどを多く盛り込み、取捨選択してもらえるように意識しました。

 そして、10月24日の中間レビューでは、他のグループの完成度の高さ・自分たちの意識の低さというものを強く実感してしまいました。どのグループも、同じ夏の道東向けの旅行にも関わらず、違う切り口で捉えていて、しかもとても念入りなリサーチ・発表準備を行っていました。自分たちの中間レビューの完成度の低さを思い知り、とても恥ずかしく感じたことを覚えています。

 次の日から12月12日の最終発表へと準備を進めていきました。中間レビューの際に言われた販売促進について考えること、カメラ女子というコンセプトに合うようなモデルコースの再考、よりわかりやすいパワーポイント作り、などを主に行いました。分かりやすいように実際にチラシを作ってみる、中間レビューでは少なかったグラフを増やすなど、聞いている人が視覚的に理解しやすい発表を意識しました。一番の強みである、研修旅行の写真も多く取り入れました。

 全力を尽くして迎えた12月12日の最終発表。もちろん最善は尽くしたものの、他のグループも完ぺきに仕上げてきており、全ての発表を聞き終えたのち、私たちは自分たちが最下位だと予想をしていました。しかし、結果は予想外のグランプリ。「グランプリは大神ゼミ4年生です」と呼ばれた際の私たちは皆、ぽかんと口を開け、しばらく状況を理解できていませんでした。賞状や記念品を頂いたあたりで、やっとグランプリを獲得した、という事実を認識し始めました。私たちは、その日で終わると思っていたこのプロジェクトがこの先も続くという現実に、喜びよりも、この先の商品開発の険しい道を見据え、少々の不安がよぎりました。しかし、研修旅行でお世話になった旅館の方にグランプリの報告をして、おめでとうと言って頂き、また周りの方々にお褒めの言葉を頂き、この半年がんばってきてよかった、と思うことができました。ツラいこと・辞めたくなったことも多々ありましたが、努力がしっかりと結果に繋がり、仲間と協力して一つのものを作り上げる素晴らしさを感じることができたこのプロジェクトに参加して、本当によかったと感じました。